YUKIぶろぐっ! 200801





人妻になりましたYUKIがつづる、ちょっとイタイ日記。 最近はやや沈み気味な日記も書いておりますが、お時間のある方は是非ちょいエロカテゴリへどうぞ〜♪



プロフィール

YUKI

Author:YUKI
年齢:23歳
職業:事務員さん…だった。今はだめ妻(只今妊9ヵ月目突入で、退職。)
趣味:貢がせる、ぶりっこする、パソコンをいじる…は結婚して出来なくなってしまったので、かわりに旦那様をイジル。







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冷たい前髪
また、泣いてしまった…。

悔しい気持ち、いっぱいなのに…泣いちゃったら少しも言えないじゃない。

あなたの言葉を否定するよりも先に、どんどん溢れる涙が苦しい。

髪もパジャマも、手のひらすらびしょ濡れにして泣いているあたし。

ちょっと黙ってよ。

今度はアタシが言うんだから。

言いたいこと、たくさん。

あなたの前でしか泣かないんだから、もう少し待ってよ。

きっとあなたが反論出来ない位、めちゃくちゃに言い返すんだから。

『泣かないで…』

無理な注文は止めてよ。

困った顔させたくて、泣いてるんじゃないのよ。

もっともっと…泣いちゃったら、それでもティッシュで涙を拭いてくれるの?

あたしを泣かせる、悪いあなた。

泣いた後の冷たい水。

どちらも、あたしの生活に必要なモノ。



雪が降ってる。

“キレイだね”って、二人でみてる…。

今がシアワセ。



ここにいるよ。
寂しくなんか無いよ。

もう大人だし。

夜だって、お化けだって大丈夫。

もう一人じゃないし。

他には…?

大人になって平気になったモノ。

小学生の頃『蛍の墓』が怖くて、いつも最後まで見られ無かった。

今は最後まで見られるけれど、悲しい気持ちは大きくなった。

やっぱりあなたがいないとダメだ。

怖いこと、全然無くなってない。

むしろ、大切なものが増えて、前より色んなことが怖くなったんだ。

『大丈夫だよ』って言って。

あなたのその言葉だけ信じられる。

あたしだって嘘はつくよ。

その『大丈夫』が、自信の無いものでも…いつか本物になれば。

大丈夫。

アタシも一緒にいるよ。

きっと…大丈夫。

二人なら…大丈夫。



ピアッサー
ピアスを開けたい。

思い立ったのは数日前。

でも既に、今あるピアスホールの上に、ちょこんと開いたホールを想像してドキドキしてしまう。

オニキスやヘマタイト。

結局、シンプルなモノに落ち着いてしまうから。

二つ着ければ、雰囲気も変わるかもしれない。

ママらしくない、片耳二連のピアスホール。

髪の毛を染めることはあんなに反対した旦那様は、『妊娠してる時でも大丈夫なら、構わないよ。』とあっさり了承してくれた。

女の子でいたい気持ち…ちょっと分かってくれてるのかな。

体温調節が上手くいかなくて、少しのぼせて仕舞いそうな布団の熱にうかされながら…

左耳のピアスホールのことを考える。

きっとピアッサーの注意書きには、妊婦はダメだとだらだら書いてあって、あたしはがっくりくるんだけど。

旦那様に『良いんじゃない?』って言って貰えただけで、随分嬉しいものだなーなんて思っていたりする。

諦めない…

あたしの耳に、健康的な自傷を。



寝ない子だれだ
大人なんだから、もう夜更かししたって良いんだよ。

昔みたいに焦ることなんか、無い。

長い夜。

そうだ…本を読んだって良い。

図書館で何度も読み返してから買った本達は、めくるたび勝手にずっと先の内容を語りだして…。

結局いつもと変わらない、退屈な時間が流れるだけなのだけれど。

音楽を聴くのも良い。

今は携帯で簡単に聴けちゃうし。

こんな日に限って、電池が一個だけど気にしない。

どうせ…こんな遅くにあなたが連絡くれるわけないし。

やけに明るいテンポの知らない曲が、ヘッドホンを通して流れ込んでくる。

だから…。

タイムリミットなんて無いんだってば。

なのにアタシの貧弱な精神は、携帯の残りの電池を気にしながら、時計をチラチラ確認してる。

さて、何をしよう?

真夜中のドライブは?

あなたに怒られたい訳じゃない。

時間を持て余してるだけ。

コンビニに用事は無いし、イルミネーションはもう何処も光ってない。

バーテンのバイトをしてた頃は、忙しければ3時過ぎまで仕事で。

眠れない時は制服のまま海まで運転して、コンビニでコーヒーを買って…そんなこともしてた。

でも今は万人の夜。

夜更かしは…

どうだろう?

大人だから…。

寝ない子だぁれだ…。



裁ち切るハサミ
心が苦しい…。

多分、ちょっとだけ調子が悪いだけ。

『まだ知らない声は聴こえないから』と自分を慰めてみる。

眠剤無しで眠ることにも慣れてきた。

妊娠してから、ずっと我慢してきたリストカットは、一度タガが外れてからはもうダメだったけど。

感染とか、諸々怖かったのに。

今あたしの腕は、まるでフランケンのよう。

だったら…。

だったらピアスでも開けようかな…なんて。

同じ、自分の身体を傷つける行為なのに。

前者は精神異常で、後者はただのオシャレさん。

確かにピアス開けるのなんて、ちっとも痛くないもんね。

腕を切るのは…違う。

無心にハサミで肉をブチンブチンと切り取る作業。

最近、RADWINPSを聴きながら切るのが好き、なんてことはどーでも良いとして。

血でぬるぬるしたところに、またハサミを当てる時の痛みは焼けつくよう。

だからこそ、色んなことを忘れさせてくれるんだけどね。

程よく暖まった布団から出る気もないくせに。

引き出しの中のハサミが気になって仕方がない。

ある意味嫁入り道具な、古い裁ちバサミ。

今日は一向に訪れない眠気。

自分を痛めつけることへの欲求と、最終的にどちらが勝つんだろーか。



恋文
今日は一度もメールをくれなかった。

いつもなら、二通以上連続してメール送って来る奴は、スグにストーカー呼ばわりなんだけど。

自分がされたくないこと、しちゃってる自分がいる。

別に勘ぐってるわけじゃない。

きっと携帯を車に忘れているか…、友達と遊ぶのに夢中か。

普段なら、あたしだって身軽に逢いに行けるのに。

自分は待つしかない、そんな時に限って『寂しい病』が騒ぎだす。

耳をすませる。

当たり前だけど、あなたの車の音がするわけでもなく。

鳴らない携帯なんて、孤独を掻き立てるだけだし。

お腹の中でドコドコ蹴られる感覚。

『僕がいるじゃないか。』って言ってるんだろうか?

だったら、広い胸と、長い腕を持って産まれてきてね、なんて考えながら…

寒い一月の夜は過ぎていきます。

きっと…きっと朝になれば、あなたからのごめんねってメールが入ってるんだよね。



旦那様とアタシ。
付き合っていた頃の3年間もそうだったけれど、旦那様は常にあたしに優しかった。

『気が利かない』

『アタシの気持ちをわかってくれない』

付き合ってる頃の文句とかって、大概この二つだけだったし。

あたし自身は、『そうやって悪い方に悪い方に考えちゃう癖、良くないよ。』位しか言われたキヲクがない。

あ、あ、早速嘘ついちゃった(汗)

最近ワガママって言われたことある。

でもその後で『でも、ようやくワガママ言って貰えるようになったことが嬉しいから。』って。言ってた。

本当はね、最初からワガママ全開だったんだけど。

旦那様は、見た目にコンプレックスがある。

アタシ的には全然気にならないのだけれど、高校生の時からあるニキビのせい。

でも笑顔が素敵。

ニキビがあっても無くても、大好きな顔。

本当にコンプレックスだらけなのはアタシの方。

進学クラスにいたのに浪人して、せっかく入った学校は中退して…。

だから夢に向かって頑張ってる人が、好きで苦手。

見た目もそう。

体重の変動が激しいアタシは、見た目に相当なコンプレックスを抱えている。

極端なダイエットで痩せてから、男の人に貢がせていたのも、自信の無さからだった。

そんなことを含め、不安になると逃げ出そうとするアタシを、上手に飼う旦那様はすごい。

アタシは好きなことをして、たくさんワガママを聞いて貰った気になって、彼にコントロールされている。

本当は『さよなら』って言われるのが怖くって、ケンカするたび先に言って、ビクビクしてるのもバレてる。

真剣な顔して『そんなこと言っちゃだめだろう』って怒られて、ほっとしてしまうアタシはかなり変。

4月からは、助けてくれる旦那様はいないから。

アタシは自分で自分を守らなくちゃイケナイ。

まだまだ先の話。

でもすぐ先の話。

きっと、その後本当の夫婦になるんだろう。

そんなことを考えながら、まどろむ木曜日。



指…。
あり得ない…。

かがんでモノを探していたら、転びそうになって足を負傷してしまった。

後ろにぐらっ…と傾いた身体をとっさに支えようとして、右足の薬指を曲げたまま全体重かけちゃった感じ。

そりゃあ、直後の痛みは相当なモノでしたが…(泣)

でも指をつめちゃった時なんかも、すぐ痛み引くもんねー♪と湿布だけ貼って動きまわっておりました。

ところが!

一時間たっても、三時間たっても、痛いー!!

靴下を脱いで足を見てみても、明らかに腫れています。(当社比1.2倍)

ってか、若干変な方向に曲がっているような…。

とりあえず2、3日して痛みが引かなかったら病院に行こう…。

これも全部、出っ張ったお腹のせい(泣)

色々とバランスがね。

旦那様いわく、妊娠前からの運動不足のせいらしいですガ。

もちろん知ったこっちゃアリマセン。

明日から、ひたすらカルシウム摂取だわ…。



母乳
旦那様と一緒に、乳房マッサージを練習していたら…あり得ないことが起きた。

ぇ…。

乳首の先に、水滴!?

思わず吹き出す旦那様。

うろたえるヨメ。

こんな早くおっぱい(の元)が出るなんて、知らなかったんだもん(泣)

乳首をつまんでも全然出ないのに、おっぱい全体を優しく押すだけでポロポロこぼれる滴。

色はまだ透明で、ほんのすこし黄色味がかっている。

『エッチの時、もう吸えないなぁ。』

赤ちゃんの分のミルク無くなっちゃうし、と旦那様。

あたしは複雑。

もうお腹がしっかり出ちゃって、妊婦だってモロ分かりだけど、それでも…

それでも、自分は女の子からママになりきれてなかった。

乳首の先からこぼれる、丸い滴を見る。

もう自分は女の子じゃない。

これからは、奥さんで、ママなんだ。

どちらかと言うと寂しい気持ちが多いけど、望んで望んでママになったってことを忘れないようにしよう。



気味の悪い夢。
道を歩いていると、自転車で転んだ男の子に逢いました。
幼稚園か、小学一年生位でしょうか。

自転車を起こしてあげて、『泣かないで偉かったね。』と言って帰りました。

次の日、同じ道を歩いていると、昨日の男の子が現れ、スミレの花を一輪くれました。

男の子は次の日も現れ、今度は紫のフリージアを一輪くれました。

次の日は雨。
散歩には行かずに、近所の自動販売機でジュースを買っていると男の子が現れました。

今度は都忘れを一輪。

こんな花を子供が買える訳がない。

『ありがとう。でもお家の花をとってきてはダメよ。』

明らかに子供のそれとは違う表情で、にやにやしながら走っていく男の子。

なぜか急に恐ろしくなって、私は家から出られなくなるのでした。

次の日。

子供の駆けてくる足音。

アパートの部屋の前の花菖蒲。

部屋を知られているという恐怖で、しばらく立ち尽くしていました。

覗き窓から恐る恐る覗くと…

口の端を大きく吊り上げてニヤーっと笑う男の子の口元。

鍵を閉めているのに、ゆっくりと回るドアノブ。

私の前にうつ向いた男の子がいました。

怖くなった私は、男の子を傘でめちゃくちゃに殴りました。

一時間位たったでしょうか。

目の前に転がる、変な風に捻れた男の子。

まだ笑っていました。

私は部屋から毛布を持ってきて、男の子を包みました。

どんどん小さくなって、毛布の形に四角く四角くなっていく男の子。

『ひーっひっひ…』
笑いをこらえるような、嗚咽の様な声。

いつのまにか、私も笑っていました。



破棄
気持ちが悪い。

お昼に食べたコーンスープが、行き場を無くしてぐるぐるしている感じ。

苛々していると、食べられ無くなるアタシ。

そういう時って、怒りが胃袋の中にまで充満してるんじゃないだろうか。

彼氏が来るから…と朝からずっと掃除をしている母親がウザイ。

夕飯を一緒に食べる約束は、忘れた振りをして家を出よう。



醜い傷痕。
久しぶりに手首を切った。

妊婦健診で血圧を計ったり、採血をしたりする腕。

絶対ダメなんだってことは分かってた。

お腹にいる赤ちゃんへの愛情が、薄くなってしまったせいもあるのかもしれない。

少しだけ、ハサミで肉を挟んだら…タガが外れてしまった。

ブチン、ブチンと音がしそうな位、楽しい悪戯。

ハサミについた、皮とも肉ともとれる物体をティッシュで拭い、ベッドでまどろむ。

時間が経って、血が滲むのがひんやり冷たいけれど、ピリっと走る腕の痛みにニヤニヤしてしまう。

結局これがアタシなんだ。

繕っても、いつかはほつれるのがアタリマエ。

一瞬、旦那の顔がちらついて、無意識に傷口に爪をたてる。

まだ…大丈夫。

アタシは大丈夫…。



怪物
お腹にいる赤ちゃんを愛せない。

オロス

そんな言葉が何度もよぎる。

去年一年間必死で努力して…授かって、守ってきた命。

ただの黒い点の時から、愛しくて愛しくてしょうがなかったのに。

旦那のことを悪く言われるたびに、アタシの心は黒くなっていく。

例えそれが本当のことでも。

毎日毎日毎日毎日、ほんの数滴ずつだけど確実に毒に侵されて…。

愛せない。

自分がいつか産むのは、役立たずなゴミだって気がしてくる。

それはもちろん、お腹の中であたしの気付かない間に死んでしまうのでは?と言う不安より、痛い。

あなたの言うそんなにダメな旦那の子供なら、誰も愛してくれないじゃないか。

妊娠していなければ、働けるのに。

養っているなんて、あんたは肩身の狭い居候なんだからって、言われずにすむのに。

不満は内へ内へと向いていく。

本当は…役立たずのゴミはアタシ。

だから毎日耳が痛い。

『皆シンデシマエ』

決まり文句を言うしか出来ないアタシなんだ。



断末魔の叫ぶ夜。
最近涙もろくなった。

それとも、泣きたくなるようなことが増えたのか。

多分両方なんだろう。

母に新しい恋人が出来た。

そりゃあちょっとは複雑なキモチだけど、一人でいる寂しさが分からない年齢じゃないから。

素直に良かったねって思う。

素直じゃないのは母さんの方。

どんなに嫌な所が有っても、好きならしょうがないじゃない。

それとも、それが分かっているから苛立つのか。

あたしにまで害が及ぶのなら。

みんなみんなシンデシマエ。

…やっぱりアタシが消えるしか無いのか。



黒イアメ。
こんなに静かな夜はめずらしい。

母は今日はグループホームの食事作り。

弟はモスで勉強会。

アタシだけ…何もないように思えてしまう。

こんな時は、旦那様に一緒にいて欲しいのに…。

役立たずな携帯は、こういう時に限ってウンともスンとも言ってはくれない。

お腹の中の赤ちゃんは、寂しくないんだろうか。

あたしがいれば淋しくないなんて、思えないもの。

車を走らせれば、旦那様の家まで30分。

なのに、どうしてあたしは行かないんだろう。

あたしはなんで…泣いてるんだろう…?



あたしはキスが嫌い。

旦那様は、好き。

アタシが目をつぶると、すぐ旦那様の唇が被さってくる。

軽いキスなら、寝た振りしててあげるのに。

そのまま、いつになっても唇を離してくれないから。

仕方なく寝返りをうつのだけれど。

自分の部屋で眠っていると、不思議。

キスしてくる人なんていないのに、自分の髪が顔を伝うだけで、きゅっと目をつぶってしまう。

唇を押し分けて進んでくる舌の感触が思い出されて、すごく嫌な気持ち。

あたしがキス出来るのは、頭が真っ白でクラクラしているとき。

揺さぶられて、掻き乱されて、のぼりつめそうな時、あたしは進んで唇を差し出せる。

『もっと』が欲しくて、あなたがそれをくれる人だと知っているから。

つんつんと触れる冷たい唇。

いやよ…と払いのけたら、猫が見つめているだけだった。



バスルームから愛を込めて。
食事の用意位しかしてないのに、貧弱なあたしの指はもう音を上げてしまった。

指先から、爪の中まで裂けたひび割れ。

少し何かに触れるだけで、電気が走るみたいに痛む。

見かねたあの人が、身体を洗ってくれた。

傷口に髪の毛が入り込むからって、シャンプーも。

肌が荒れちゃうから、妊娠してからほとんど『処理』してないふくらはぎ。

だらしなく突き出したお腹。

妊娠する前は、一緒にお風呂に入っても、少しも恥ずかしくなかったのに。

クルクルと赤ちゃん用の優しいスポンジで洗っていってくれる、手。

女の子の手と違う、不器用で汚ない字しか書けない見慣れた手。

でもこの手は、お腹を洗う時、ことさら優しく優しく洗ってくれる。

キレイ好きなあの人は、足の指の先まで、撫でる様に洗ってくれるから。

ざらっとした指の感触に、思わず声が出てしまう。

4月が近づく。

心が騒ぐ。

アタシは一人で大丈夫なんだろうか。



冬眠、暁を…
毛布があたしの最後の砦。

そんな大切な毛布を、猫に譲る時がやって来た。

毛布だけがずれ落ちたベッド。

トイレに立った時に、そろそろと布団から出なかったせい。

窓からカーテン越しに入ってくる、暖かい日射しに誘われて。

猫に布団を占拠されることだって、簡単に想像出来たのに。

猫は決して布団の端には寝ない。

布団がふわふわなのは真ん中だって知ってる。

毛布が無い世界で、アタシは生きていけないから…愛しい故郷のベッドに別れを告げる。

でも、それにしても気持ち良さそうな猫。

猫がいるから布団の下にはもぐれないけど、上になら…。

床に落ちた毛布にくるまり、ぽかぽか暖かい布団の上へ。

『よう、お前も気付いちまったか。』
なんて声が聞こえてきそうな位、空気を含んだ布団は柔らかく優しい。

弟が出かけてから、昼ごはんも食べずに眠りこけるあたし達二匹の寝子。

しばらくは、こんな日が続きそう…。



体温
目が覚めて、寝返りをうったら、布団の中に冷たい空気が入ってきた。

さっきまで、傍らで眠っていた猫の姿を探す。

夕べは布団の上で寝ていて、寒くなったら布団に入って…を繰り返していた。

布団の上から、手で毛布をちょいちょい…と触る仕草が可愛かったのを覚えてる。

その後、寝ぼけて適当に布団を持ち上げたら、ジジが布団から落ちてしまった。

猫のくせに、運動神経無いな…とは思わないけど。

あたしは彼の三番目のオンナ。

だから、めったにあたしのベッドには来てくれない。

弟はさしずめ第1夫人ってなとこだろうか?

なんてボーッとした頭で考えてみる。

あの二人はまるで恋人のよう。

アタシが優しく優しく触っても、触られるのが嫌な猫はすぐにどこかへ行ってしまう。

なのに弟に抱えられて眠る猫は、うっとうしいだろうに、肉球をいじられても毛を逆立てられてもウットリ…。

あたしの膝で寝てくれるのは、泣いている時だけ。

うそ泣きしても見抜く、泣くのを必死に堪えていても見抜く、奴には当分勝てそうにない。



仕事
嗚咽で、上手く喋れなかった。

普段ならきっと、自分のヒドイ顔を想像してげんなりしてただろう。

泣くのに忙しくて、息が出来ないなんて。

小学生の時以来だ。

父が亡くなった時は、そんなふうに泣くのが怖くて。

一番得意な顔をしてたから。

泣いたら何も出来ないって思ってた。

『泣いたら負けなのよ。』小さい頃に誰かに言われた言葉が、泥のように足を掴む。

気持ちを伝えたいなら、冷静に。

興奮したって良いこと無いし。

なのに。

泣いてしまう。

あなたに分かって欲しくて、泣いてしまう。

赤ちゃんじゃないのに。

言葉があるのに。

とても悔しいのに…泣いてしまう。

あなたがゴシゴシ拭いてくれるタオルには、涙だけじゃなく、鼻水もついちゃってるし。

腫ぼったい目も、赤い頬も、汗でぺったり張り付いた前髪も。

全部、全部許せないことなのに。

頭を撫でてくれる、貴方の手が心地よくて。

こんなことで疲れて眠ってしまうなんて…と思いながら、まどろむ夜。

泣くのも、楽じゃないみたいだ。



『どうして…』

そんなこと分からない。

『さっきまで笑ってたじゃないか。』

あなたにそう見えたなら、きっとそうなんだろう。

『なんでそんなこと言うの…。』

何かがアタシに言わせてるので無いなら、アタシの気持ち。

どうしてって、アタシが一番聞きたい。

皆が出来ること。

すらすらと乗り越えていけること。

アタシには簡単には出来ないから。

好きだよ。

引っ掻きまわして、血だらけにしてしまいそうになるくらい。

アタシと同じ位、傷だらけになれば良いのに。



暗闇
死にたくなった。

最初は、『今あなたのそばにいたくない』という言葉の代わりに使ったのに。

じわじわと言葉に侵蝕されて、アタシは自分の腕を見た。

死にたい、とは違う言葉達。

死にたくないから手首を切る。

腕を切る。

他の方法なんて分からないから。

どす黒い池に引き込もうとする、無数の腕達から逃げる方法。

三度目の『死にたい』は、本当。

あなたから、逃げ出したかった。

無責任なあたし。

ヘドが出るほど、明るい月夜。



夢の終わりは唐突にきた。

そりゃあもちろん、夢じゃないとあり得ないことだったけど。

あの人が…笑いながら頭を撫でてくれた。

長い指はとてもきれいで、アタシは悲しくなったんだ。

『あたしなんて…』

それでも好きで、どうしても好きで、離れたくなかった。

必死に服を掴んでいたハズなのに、空気を掴む手。

夢と違う、見慣れた自分の手。

夢でしか逢えないのだから、もう少し思い通りになればいいのに。

せめて、悲しい結末は、二度と見なくてすむように。

冷たい空気が朝を知らせる。

また一日が始まる。



愛唄
なんだか急に、元カレにメールしたくなった。

用事なんて何も無いし、アドレスだって変わってるかもしれない。

そもそも、なんてメールするつもりなんだ?

でも…なんでだろう。

今アタシはすごく幸せだって…伝えたくなった。

決して、今までのことだって、無駄では無かったと思うから。

『あんたのこともちゃんと好きだったよ。』
なんて、本当に今さらだけども。



我が侭ママん
ゼリーが食べたい…。

コンビニの、210円のおっきいヤツ。



味はどれでも良い。

ビワもチェリーも、みかんもマンゴーも、ゼリーなら大丈夫。



妊婦じゃなければ、買いに走ったものヲ…。



思いついてしまったら、すぐに動けないと嫌なアタシ。

そんなふうに、自分の都合では動きにくい妊婦は、アタシには向いてないのかもしれない。
今ものすごくゼリーが食べたいけど、一番したいことは違う。



出来るなら、走りたい。

スポーツなんか大の苦手だけど、今は何でもいいからしたい。



後は、旦那様と…

赤ちゃんを気遣わずにエッチがしたい。

そんなことを考えていたら、お腹がポコポコ…。



勝手なこと言うなって怒ってるんだろうか?

ワガママなママでごめんョ。




でも…ゼリー食べたい…。

ノド痛いんだもん(泣)




微熱
風邪気味の、熱っぽい身体が気持ち悪い。

そういえば、妊娠初期の頃はずっとこんな感じだったんだっけ。
よく我慢出来たなーアタシ。



妊娠前は月に一度寝込む程の風邪を引いていたから、これでも大分強くなったのかもしれない。


久しぶりの喉の痛みは、やっぱり辛くて、不幸な気持ちにさせる。


乾燥するのが嫌で、今日は電気毛布をつけてない。
なのに、じんわりと足先に感じる汗。

最高にキモチワルイ。


妊娠する前って、どうやって風邪治してたんだ?


もちろん、風邪薬は飲む。
後は寝るでしょー…


…。
風邪引いても、熱出しても、自分だけの身体ならどうにでも出来た。

そーゆーことなんだろうか。






ゆりかご
夢を見た。


小さい男の子を抱いて、笑っている旦那様。

椅子に座って、突き出たお腹をさするアタシ。



本当に気が早いなぁ…と笑ってしまう。

お腹の中で、赤ちゃんがぴょこぴょこ跳ねるのを早く感じたくて、息を詰めて集中してみたり。



早くこの手に抱きたい。
そう思えて仕方がない。



5ヶ月で産まれてきたら困ると言うのに、妊娠したことが分かった時から…そう。

母性と言うより、クリスマスプレゼントを早く開けたくて仕方がない…小さい子供の気持ちのままな気がする。



それとも、自分の貧弱な子宮に、大切な大切なものを持っているのが不安なんだろうか。




そんなことを考えながら、もう一度まどろむ。

きっと…もうすぐ旦那様が帰って来て、夢を終わらせてくれるだろうから。




sex-y。
安定期に入ってからと言うもの、旦那様は前よりもちょこちょこ誘ってくるようになった。


普通に迫れば、キスも拒否するダメ妻なアタシ。
だから、想像してたよりも10cc位脳みそが多かったらしい旦那様は、『お腹触らせて。大分出てきたね。』と言って触ってくる。


赤ちゃんはアタシだけのものじゃないし、嫌がったらさすがに可哀想だって思っちゃうのを、カンペキ読まれてる…。


赤ちゃんがいるのはまだまだ下の方。

それを知っている旦那様は、際どいところを無遠慮に撫でまわす。



せ…性欲があれば羞恥心もちょっとはマシになるけど、アタシだってその気が無ければ恥ずかしいっての(泣)


太ったのと違って、仰向けになっても丸っとした形を保つお腹。

黒ずんできた乳首…

唯一良かったことと言えば、スネ毛が抜け落ちてなくなってったこと位。



基本、妊婦体型は見られて嬉しいモノじゃあありません。



アタシの弱いトコ…ばっかり触ってくるわけじゃないけど、『おっと、間違えた』とでも言うように、フイに触れてくるのが悔しい。



そのたびにドキドキして、お臍まである妊婦パンツを思い出してげんなりしてしまう。




…触られるのが、全部イヤなわけじゃないんだけど。

後数ヵ月で遠くに行ってしまう旦那様。

今必要なのは、『触れ合うこと』だけじゃない気がするんだ…。






僕たち男の子。
1ヶ月ぶりの妊婦健診に行ってきた。

まずは問診。
体重のことは置いといて…胎動の有無なんかを聞かれました。


最近になって、ようやくお腹の張りっていうのがどんなものか分かってきた位です。
胎動…ちゃんと気付けるのだろーか(汗)


それでも、そろそろ分かるはずだって妊婦雑誌に書いてあるのを読んでから、一生懸命感覚は研ぎ澄ましているつもりではある。


今のところ、腸しか動いてくれないけど。

いやいや、ガスだと思っていて赤ちゃんだったなんてこともあるんじゃなかろーか。

ツワリも終わって、1ヶ月健診が無くて。

少し不安だったけど、今は少しつき出たお腹がある。

中にいるのは、まだ小さな、でもエコーの画面に映りきらなくなってきた可愛い可愛いアタシの息子。


後半年…。



大事に持っていたいと思う。